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国内移行後のPCT段階での名義変更と名称変更(PCT/IB/306)


PCT段階での名義変更や名称変更は、優先日から30月までに提出されれば、30月後であっても、国際事務局は記録してくれます(30月をすぎて提出されれば、記録をしてくれない。)。ギリギリになる場合には、国際事務局に出した方が早めに変更されます。

そして、記録されれば、IASR上も変更されますし、IB306が発行されます。

IB306(様式はこちら)上でthe applicantについて、
the personのチェックボックスがチェックされていれば、名義変更(ownership change)
the nameのチェックボックスがチェックされていれば、名称変更(name change)
という意味になります(なお、国際事務局がこれらを間違っててチェックボックスをチェックしていることがあるので要注意です。必ず確認しましょう。)。

ところで、日本への国内移行を想定する場合、ハブとなっている現地代理人が、出願人をA→Bに変更する(名義変更又は名称変更の)手続を、
・国際段階でとっていない場合や
・国際段階でとっていても、まだ反映されていない場合、

日本への国内移行時に、特段の注意喚起を受けていなければ、自発的にパテントスコープのIASR上も確認したところで、何ら確認できないため、
日本ではIASRや国際公報に記載された出願人であるAを出願人として、国内書面を提出することにより国内移行をすることになります。

その後、特許庁の方式審査までに、国際事務局がA→Bへの変更を記録した場合には、日本において、国内書面に記載の出願人と国際事務局が記録した出願人の不一致となります。

この場合には、指定官庁である日本国特許庁から連絡が来るので、適宜対応をとることが必要になります。

適宜の対応は、名義変更・名称変更などにより異なります。
例えば、名称変更の場合には、日本でも名称変更を届け出ることになります。しかし、日本は、出願単位ではなく、識別番号単位で出願人を管理するので、担当が指定官庁ではなく、申請人登録室になります。そこで、指定官庁としては、申請人登録室での登録の変更が終わるまで、処理が一時見合されます。
また、名義変更の場合には、手続補正指令書が送付され、それに応答すれば、出願人名義変更届や譲渡証書を提出する必要はなく、名義をBに変更することができるようです。
特許庁の説明(こちら)によると、次のように記載されております。

(2)国際段階で出願人の名義変更があった場合
~国際出願時の出願人はAであったが 国際段階で譲渡により出願人がBとなったような場合~

パターン①
 (i)国際公開に記録の変更が反映されているとき
 (ii)WIPO国際事務局から名義等の表示の変更の通知(IB306)があったとき すなわち、国際段階で出願人の名義変更手続が済んでいる場合
→ 「国内書面」の【特許出願人】は新名義人B

パターン② (i)、(ii)に該当しない場合
すなわち、国際段階で出願人の名義変更手続が済んでいない場合
→ 「国内書面」の【特許出願人】は新名義人B 加えて、【その他】の欄を設け経緯を記載する。
(例)「国際段階で譲渡が行われたにもかかわらず、その手続がされない状態で 国内書面と同時に手続するもの。」
また、 同時に「出願人名義変更届」(【承継人】は新名義人B)を提出し、「出願人 名義変更届」の手続補足書で、譲渡証書(A→B)と委任状(B→国内書面の代理人)を提出する。

しかし、このパターン②を実行することは困難な場合も多いと思われます。
・先ず、国際段階での名義変更の事実を知らされてないければ出願人をAとして国内書面を出す(出してしまう)ことになります。その後、国際段階で名義変更手続がとられIB306が発行されれば、日本で手続補正指令がなされ、手続補正により、出願人AをBに変更(補正)することができます。これは日本での手続きに関していえば、出願人名義変更手続ではなく補正ですので、譲渡証書や委任状は要求されることはないといえます。
・また、同事実を知らせれていたとしても、国内書面提出日までに譲渡証書や委任状が間に合わないことも十分に考えられますので、そのような場合には、新名義人BではなくIASRに合わせて、出願人をAとして国内書面を提出する方が無難であるといえます。そして、その後、もし、国際段階で名義変更手続がとられIB306が発行されれば、日本で手続補正指令がなされ、手続補正により、出願人AをBに変更(補正)することができますし、国際段階で名義変更手続がとられなければ、日本国内において、準備が整い次第、出願人名義変更届を提出すればよいことになります。

以上、現地代理人との連携をきちんと行わないといけないことになります。逆に、こちらがハブとなっている場合には、なるべく国際段階でぎりぎりの手続にならないようにして、IASR上で確認できる出願人と現在の出願人の表記が一致しているようにした方が、現地代理人がミスをする可能性を減らせますし、特別な指示が生じるのを防げますし、特別な指示が正しく処理されているかといった確認作業に追われることも防げます。早め早めに動くことのメリットが大きいといえますね。

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