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いわゆるダミーによる無効審判の請求


平成15年改正法では、無効審判の請求は、「何人もできる」と記載されていたため、(代理人としてではなく本人として)弁理士や弁護士による無効審判の請求は現実に行われていた。これらの者は、手続き続行の意思を明確に有しているので、「何人」にカウントされていたわけです。とりわけ、実務的にも、異議申立制度との一本化が強く意識されていたため、クライアントが自己の名前を出さないで成立した特許の有効性を争う方法として意味があったと思われる。もっとも、「何人もできる」とされていても、弁理士や弁護士ではない者が報酬をもらって、他人のために、無効審判を請求人として請求すれば、手続き続行の意思があれば、「何人」には該当するかもしれないが、別の問題として、弁理士法違反や弁護士法違反になる可能性があるとされていました(この旨が「平成15年改正法における無効審判等の運用指針」に記載されていました。「弁理士・弁護士のような職業代理人でない者が、金銭ほかの何らかの報酬を得て他人のために審判請求をする場合には、その行為が弁理士法・弁護士法違反の問題を生じる可能性があるので注意する必要がある(弁理
§75、弁護§72)」)。

しかし、平成26年改正法では、無効審判の請求は、「利害関係人に限りできる」とされることとなったため、おそらく理屈上は、(代理人としてではなく本人として)弁理士や弁護士による無効審判の請求は、「利害関係人ではない」として禁止されることになるでしょう。同じく、弁理士や弁護士ではない者が、報酬をもらって、他人のために、無効審判を請求人として請求することも、「利害関係人ではない」とされ禁止されることになるでしょう。もっとも、相手方が争わなければ、合議体が審理することはないのかもしれませんが、類型的・外形的にみて、合議体が任意に審理ということにしてもいいのかもしれません。この辺りは、今後の実務の推移を見守るしかないのでしょう。

面白いことに、EPOでは、弁理士や弁護士による異議申立ての請求は禁じられておらず、かつ、代理人の腕試し的な請求であってもよいとの判断もなされているようです。異議理由を含む瑕疵ある特許は公益に反するという観点からも、また、たしか何人にも許容されているという条文のたてつけからも、許容されるのでしょう。

とすると、無効制度と異議申立制度を一本化することに、思いがけず、多少の無理があったのかもしれません。この辺りは、やってみて初めてわかることもあるでしょうから、行政庁としても、苦労のあるところかもしれません。

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