欧州特許庁での同日出願
あまり日本で知られていない問題ですが、欧州特許庁でのいわゆる同日出願はどのように取り扱われることになるでしょうか?
まずはおさらいから。つまり、異日出願の場合から。
異日出願であれば、出願人の異同にかかわらず、EPC54条(3)とEPC56条によって対処されます。すなわち、EPC54条(3)は、EPC56条とあいまって、日本法でいうところの拡大された先願の地位の規定です。ただ、日本法と決定的に異なるのは、EPCでは、同一出願人の出願間にも適用されます。
したがって、外国にまで出願することを視野にいれて出願戦略を考える場合には(そのようなことの方が、むしろ通常ですが)、日本で通用することが全く通用しないので、別の知恵が必要です。このことを理解していないと、大変な状況に陥ります。
続いて同日出願の場合ですが、同日出願の場合には、実は、これに対応する規定はEPCにはありません。これは、異なる出願人の出願間と同一出願人の出願間戸に分けて考察する必要があります。
(1)異なる出願人の出願間
この場合には、両方特許されます。
(2)同一出願人の出願間
この場合には、通知されて、そこで調整されることになります。部分的に重なっているだけであれば、両方特許されることになります。
なお、上記では、記載の平易を心がけるために、「同日出願」とか「異日出願」と簡単に述べていますが、優先権の主張を伴う場合には、当然これを考慮しないといけません。