無効審判と審決取消訴訟
(1)無効審判の審決が無効不成立との審決の場合
(1-1)審決に取消理由がない場合
審決取消訴訟は、単に棄却される。この判決が確定すれば、審決が確定することになる。
(1-2)審決に取消理由がある場合
審決取消訴訟は、審決を取消すものとなる(特許法181条1項)。この判決が確定すれば、審決が取り消されるので、審判官はさらに審理を行い審決をすることになる(特許法181条5項)。
この場合、審決の拘束力(行政事件訴訟法33条1項)から、通常、そのままであれば無効成立との審決となることが期待されるが、申立てにより、訂正請求の機会を得ることができる場合があるため(134条の3第1項)、その場合には、再び無効不成立との審決になることもある。
(2)無効審判の審決が無効成立との審決の場合
(2-1)審決に取消理由がない場合
審決取消訴訟は、単に棄却される。この判決が確定すれば、審決が確定することになる。
よって、特許は対世的に無効になる。
(2-2)審決に取消理由がある場合
審決取消訴訟は、審決を取消すものとなる(特許法181条1項)。この判決が確定すれば、審決が取り消されるので、審判官はさらに審理を行い審決をすることになる(特許法181条5項)。
この場合、審決の拘束力(行政事件訴訟法33条1項)から、他に無効理由が無い限り、無効不成立審決となることが期待されるが、他に無効理由があれば、再び無効成立との審決になることもある。
特許法
第181条 裁判所は、第178条第1項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。
5 審判官は、第1項の規定による審決若しくは決定の取消しの判決又は第2項の規定による審決の取消しの決定が確定したときは、さらに審理を行い、審決又は決定をしなければならない。
第134条の3 審判長は、特許無効審判の審決(審判の請求に理由がないとするものに限る。)に対する第181条第 1項の規定による取消しの判決が確定し、同条第5項の規定により審理を開始するときは、その判決の確定の日から1週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定することができる。
行政事件訴訟法
第33条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。