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EPCと欧州各国の関係

2011/05/30中央知財研・備忘録、

2011/06/04欧州現地代理人からのコメントを踏まえて追記


欧州特許法上、たしか、締約国に、EPCと矛盾しないように求めている規定あったはず。その読み方は?EPCと異なる解釈を用いて、EPOで付与した特許を各国法に基づいて無効にしてはならない、ということを要請するものにすぎないのか?締約国は、EU directiveには直接拘束されるが、EPCの条文にはさほど拘束されないのか。ちょっと、色んなところ(国の内外を含めて)で窺うニュアンスが異なるので、いつか確認しておこう。ややすっきりしない。

ES細胞関連技術なども、英国は、欧州特許庁より明らかに緩い基準を設けていたが、この状態は、どういう状態なのか。以前の審査ガイドでは、イギリスでは緩くてよいと開き直っていたが(!?)、EPOのEBA審決後は、イギリスでは、審査ガイドを改めたが、その際には、EPOとの調和云々を語っていたはず。

ドイツの補正の要件もオランザピン事件前まではEPOの実務よりもゆるゆるだったとの指摘あり。

ふ~ん。ちゃんとすっきりしたいな。

(追記)
欧州の現地代理人からのコメントを踏まえると、

EPC2条(2):

The European patent shall, in each of the Contracting States for which it is granted, have

the effect of and be subject to the same conditions as a national patent granted by that State,

unless this Convention provides otherwise.

つまり、EPCに別段の定めが無い限りは、欧州特許は各締約国において、当該締約国で付与された国内特許の効力を有し、国内特許と同じ条件に服することになる。ここまでだと、国内特許と同じ条件である限り、無効にしてもいいことになる。しかし、この別段の定めとして、138条(1)があり、欧州特許を各国で無効理由とするための理由が、限定列挙されているとのこと。

EPC138条(1):

(1) Subject to Article 139, a European patent may be revoked with effect for a Contracting State only on the grounds that:

(a) the subjectmatter of the European patent is not patentable under Articles 52 to 57;

(b) the European patent does not disclose the invention in a manner sufficiently clear and complete for it to be carried out by a person skilled in the art;

(c) the subject-matter of the European patent extends beyond the content of the application as filed or, if the patent was granted on a divisional application or on a new application filed under Article 61, beyond the content of the earlier application as filed;

(d) the protection conferred by the European patent has been extended; or

(e) the proprietor of the European patent is not entitled under Article 60, paragraph 1.

しかし、具体的な基準については、EPOの実務と同じにせよ、とまではいっていないので、各国がある程度独自にEPCのこれらの無効理由を解釈する余地があり、現実的にも、EPOでは無効とされないものが各国で無効にされることは、珍しいことではない。

このような制度間の連携の例が、いわゆる第二医薬用途クレームである、とのこと。EPOはEPC2000までは、スイス型クレームで特許を付与していたが、EPC2000が発効する前までは、いくつかの締約国において、それらのいくつかが新規性無し等の理由により取り消されてた、とのこと(詳しく確認していません。たしか、オランダとかだったかな。)。そのため、EPC2000では、54条(5)を新設して、EPC2000上の第二医薬用途クレームが新規性を有することを条文上に明記することにより、締約国は、少なくとも条文に明文で規定してあることは守らなければならないので、従来のようには無効にできないことになるとのこと。

これで各国ができること、できないことについて、ある程度すっきりした気がする。



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